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なつみ憂のブログ

主に本や映画について。高学歴ニート→Webデザイナー

2015年に観た映画ランキング おすすめベスト40

今年観た映画の中からおすすめ作品を感想付きで一挙ご紹介!

2015年 おすすめ映画

気になる映画がきっと見つかる。2015年の映画40本をランキングでどうぞ!

2015年ももうすぐ終わり。ということで今年劇場で観た映画や新作DVDの中から、おすすめしたいものを40本選び、上位には感想と自分なりの解説をつけてご紹介します!

今年は夏頃にアメリカ超大作の立て続けのヒットが目立ちました。ネットで論争を呼ぶ作品も多かったりして、それなりに映画界が盛り上がっている印象ですね。こちらではハラハラするアクションからしっとりする恋愛映画、文芸映画、アニメ、ホラーまでいろいろと取り上げているので、観たいものが一本は見つかるのではないかと思います。是非最後までご覧ください!

 

おすすめ映画 ランキングベスト40

ランキングとはいえあまり人に薦めようの無い作品は除いているので、ここで紹介している映画すべておすすめです。自分としては、26位から上はすべてそれなりに思い入れがあり、それらの感想・解説を一覧の下に書きましたので是非御覧ください。あと紫の字になっている作品の感想については上半期のまとめ記事( 2015年上半期に観た映画ランキング おすすめベスト15 )をご覧ください。1位はお楽しみということで記事の最後で発表しています。

 

1位 : ?????
2位 : マッドマックス 怒りのデスロード
2.5位 : EDEN/エデン
3位 : インサイド・ヘッド
4位 : シェフ
5位 : ジャージー・ボーイズ
6位 : 6歳のボクが大人になるまで
7位 : バードマン
8位 : インターステラー
9位 : ヴィジット
10位 : 海街Diary
11位 : リトル・プリンス 星の王子様
12位 : ゴーン・ガール
13位 : ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男
14位 : フォックス・キャッチャー
15位 : チャッピー
16位 : イミテーション・ゲーム
17位 : アデル、ブルーは熱い色
18位 : ジョン・ウィック
19位 : 岸辺の旅
20位 : 私に会うまでの1600キロ
21位 : セッション
22位 : ターミネーター ジェニシス
23位 : 百円の恋
24位 : 紙の月
25位 : アメリカン・スナイパー
26位 : ラブ&マーシー 終わらないメロディ
27位 : トゥモローランド
28位 : アベンジャーズ エイジオブウルトロン
29位 : インサイド・ルーウィン・デイヴィス
30位 : イコライザー
31位 : キングスマン
32位 : 新しき世界
33位 : ジュラシック・ワールド
34位 : ビッグ・アイズ
35位 : アントマン
36位 : 僕の妻のすべて
37位 : ベイマックス
38位 : バケモノの子
39位 : ダラス・バイヤーズ・クラブ
40位 : 博士と彼女のセオリー
41位 : エベレスト 3D
42位 : 日本の一番長い日
43位 : マイ・インターン
特別賞 : インヒアレント・ヴァイス

 

※どうしても40本にしぼりきれず、43位まで紹介してしまいました。。

はこちら →  2015年上半期に観た映画ランキング おすすめベスト15

 

2015年に観たおすすめ映画26位〜1位の解説

26位:ラブ&マーシー 終わらないメロディー

ラブアンドマーシー 終わらないメロディー

抑圧と未成熟の芸術

ザ・ビーチボーイズというバンドは、多くの若い人にとっては「名前は知っているけどあまりピンと来ない」という感じかも知れない。僕も特別ロック好きというわけではなく、ビーチボーイズをちゃんと聞いたことが無かったのだが、この映画を観て「えっ!これも?」といった感じで、とにかく知っている曲ばかりが流れて非常に楽しかった。「ラブ&マーシー」はそのビーチボーイズのリーダーであるブライアン・ウィルソンが、ロック史に残る名盤「ペット・サウンズ」を制作しながら精神を病んでいく様子と、そこからの復活を果たす後年の様子をカットバックで描く作品。

実に細やかな演出でブライアンの精神状態や周囲との距離感が示されているなどとても良く出来た大人向けの映画である一方、爽やかで楽しげなビーチボーイズの楽曲が得難いリズム感をもたらしている。主演は「ルビー・スパークス」にも出ていたポール・ダノ。「ルビー〜」でも自分の世界にとらわれる男の役をやっていたけど、「爽やかさを保ったまま狂う」みたいな演技がとてもハマる。

ラブ&マーシー 終わらないメロディー [Blu-ray]

 

 

24位:紙の月

紙の月

困っている人の為にお金を使うだけ。なのに何故責められるの?

宮沢りえが銀行の金を着服しまくり、男子大学生と超バブリーな放蕩生活を送るという映画。一歩間違えば単に下世話な話にもなりそうなものだが、「桐島、部活やめるってよ」で評価を不動のものにした吉田大八監督による計算された画作りと確かなテーマ性が「貨幣とは何か」「与えるとは何か」といったかなり本質的な問題を引き出している。

監督曰くスコセッシの「グッドフェローズ」を意識したというクライマックスの展開は痛快の一言に尽きる。あと個人的にはりえが明け方月を見上げるシーンはとても印象深くて、「世界の隠された真実」みたいなものを覗き込んでしまったという、背徳感をともなった美しさが忘れがたい。

紙の月 DVD

※原作は角田光代 : 紙の月 (ハルキ文庫)

 

 

23位:百円の恋

百円の恋

どれだけ文明築き上げったってさ 痛み分からん奴は ゴミだクズだ - (SIMI LAB「Karma」)

30歳を過ぎても実家でニート生活を送っている一子。彼氏もいたことが無いらしく、昼間からゲーム三昧でもはや女性として人生の多くを諦めたご様子。とうとう実家を追い出され、100円ショップで働き始める一子はひょんなことからボクシングに興味を持ち、ジムに通い始める。初めて味わう多くの痛みや苦しみを経て、一子はボクシングにその身を捧げていくが、その先にあるものとは・・?

映画全編にわたって「痛み」がテーマになっている。僕の好きなSIMI LABというグループのラップ詞で『どれだけの地位のある人間でも、痛みを知らない奴はクズ』という印象的な一節があるのだが、まさにそういう話だと思った。生きるということは実際には痛みに耐えていくばかりなのかもしれない。それは本当に絶望的かもしれないが、だからこそ見える景色があるし、だからこそかすかな希望や己の可能性にかけたいと人は考えるものなのだ。クライマックス、リング上で「他者」や「痛み」に対して生まれて初めての敬意と、そして感謝を表す一子の姿には号泣してしまう。

あと、権威を失った父親、離婚から日が浅い妹、一子をとにかく気にかけている母ら、家族の描き方も映画のテーマに奉仕しつつもそれぞれに独立した方向性があり、映画として非常に良く出来ていると思った。

百円の恋 [DVD]

 

 

22位 : ターミネーター ジェニシス

ターミネーター ジェニシス

ぼくくらいの世代だと、「テレビでいつもやっていた映画」といえばターミネーター2を思い浮かべるひとが多いのではないだろうか?金曜ロードショーでターミネーター2が入るときは嬉しくて、飽きもせずに何回も観てきた僕にとっては、シュワが主演でターミネーターの新作がかかるというのはそれだけでOKみたいなところがあり、話として多少むちゃくちゃでも擁護してあげたい気持ちになってしまうのだ。

ターミネーター:新起動/ジェニシス (字幕版)

 

 

20位 : 私に出会うまでの1600キロ

私に出会うまでの1600キロ

自然 = 世界 = 人生は私達の敵なのか、見方なのか

過去の人生を精算すべく、アメリカ合衆国西海岸の南から北へ徒歩での縦断に挑戦した女性シェリル・ストレイドの実話をもとにした映画。主演は「キューティーブロンド」などで有名なリース・ウィザースプーン。アメリカ的カワイイの代表格だった彼女が、巨大なリュックを背負ってボロボロになりながら砂漠や山を歩いて行く。

乾ききった南西部から歩き出し、岩場や雪や川を越え、多くの街や人々との出会いを経て緑豊かな森の中で旅の終わりを目指していくその道程が、そのままシェリル自身の半生とシンクロしていく作りになっており、孤独な旅の中で己と向き合っていく様子に見てるこちらも一体化できる、大変感動的な映画だった。

わたしに会うまでの1600キロ [DVD]

 

 

19位 : 岸辺の旅

岸辺の旅

色と光で描くあの世への境界

失踪し死んだと思っていたの夫(浅野忠信)が突然、死者として堂々と帰宅。妻(深津絵里)は驚きながらも喜び、ふたりで夫が家を出てからたどってきた道のりを旅して回ることにする。こんな風に紹介すると生温い夫婦の絆映画のように思ってしまうかもしれないが、そう簡単にはいかない。監督は「CURE」や「トウキョウソナタ」で世界的な評価を得ている黒沢清。本作もカンヌで賞を獲得している。

多くのライターや批評家も褒め言葉として書いているように、観終わった後には半笑いのまましばらく唖然としてしまうような、まったくとんでもない映画である。一方できめ細やかな色や光の演出が映画に豊かな深みをもたらしており、不気味さと美しさが同居したような映画の佇まいがいかにも黒澤監督らしい。映画そのものも良いのだけれど、阿部和重の「文學界」での解説や宮台真司のRealsoundでのコメントも面白くて、語らずにはいられないような魅力がある映画なんだと思う。

※原作小説 : 岸辺の旅 (文春文庫)

 

 

18位 : ジョン・ウィック

ジョン・ウィック

文句なし!ストレートに楽しめるアクション映画

久しぶりに「こりゃあ面白いアクション映画を観た!」と思えた。キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋ジョン・ウィックが、ある出来事をきっかけに闇の世界にカムバック。「鉛筆一本で3人を殺害」という逸話すらあるジョンは、かつてのボスの息子から受けた屈辱を晴らすべく、圧倒的な強さを見せながらニューヨークで暴れまくる。

とにかく映像や音楽がかっこ良く、独特な闇社会の設定が男の子心をくすぐってやまない。中盤の山場であるクラブでのガン=カタアクションは最高に燃える。なんでもキアヌ自身が本当にカンフーやアクションが大好きらしく、本作でもこだわりを貫いて本格的なアクションをこなしている。こういったジャンル映画は形式を保ちながらも形骸化は避けなければいけないという難しさがあるが、このキアヌのこだわりみたいな作り手側の情熱や気概が何らかの形で現れていて、それが結果的に作品としての完成度にも結びついているのなら、観客としてはそれだけで大満足といったところでは無いだろうか。

 

 

16位 : イミテーション・ゲーム

イミテーション・ゲーム

「あなたが普通じゃないから、世界はこんなにも素晴らしい」

「コンピュータ」という言葉は、現代の私達にとっては当たり前すぎてむしろ何を表しているのかすらぼんやりし始めている。そのコンピュータという概念そのものを最初に考えだした男がアラン・チューリングというスーパー天才数学者で、「イミテーション・ゲーム」はそのチューリングが第二次大戦中に成し遂げたある偉大な功績についての物語だ。

誰にも言えない秘密、マイノリティであるということ、戦争という世界の不条理、そして愛と友情・・。チューリングや彼の周囲の人物、彼らをとりまく世界のひとつひとつの要素が、ある一点に向かって収束していくというあまりにも良く出来た映画。ちょっと政治的に正しすぎるような気もするが、まあしょうが無いだろう。すごくベタな感想をいうと、村上春樹の短編「かえるくん、東京を救う」なんかを想起させるようなところもあると思う。

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(字幕版)

※「エニグマ」についてはこの本が滅茶苦茶面白い → 暗号解読〈上〉 (新潮文庫)

 

 

14位 : フォックス・キャッチャー

フォックス・キャッチャー

他人事じゃない、どころの話では済まされない

こちらも実話ベースの映画。世界的化学会社「デュポン」の御曹司であるジョン・デュポンが96年に起こした殺人事件を描く。デュポンは端から見れば何不自由ない大金持ち。なぜ突然、何の恨みも無いはずの友人のレスリング選手を殺してしまったのか?

2010年代に入って生まれた「リア充爆発しろ」という非常にまずい考え方があるが、本作「フォックス・キャッチャー」ではそれが実に克明に表現されている。自分以外の全員がリア充に見えてしまうのがSNS社会。そこでは誰かがポストした「見せたい自分」が誰かの欲望を煽り、想像的同一化の無限交替が生じている。デュポンは確かに自分の無力さ、弱さから目を背け続け、彼の持たないもの全てを持っている(と、デュポンが勝手に思い込んでいた)友人を殺してしまった。もちろんすごく極端なケースだし許されない事ではあるが、こうしたことを踏まえるとデュポンの苦しみは誰しもが本質的に持ち得るものだ気づく。

「そんな個人の承認問題を未だにブツクサ語るのは下らない」という人がいたら聞きたい。国家間の大規模な戦争の代わりに象徴的な「テロ」に暴力が託されるのが僕達が生きる21世紀だ。そのようなテロは宗教的信条やイデオロギーというよりはむしろ、もともとは小さかった個々の不満が積み重なり、ある水準を超えたことによって起こっているのではないだろうか?精神論や自己啓発なんかでは決して乗り越えられないような、世界が本腰をいれて取り組むべき課題が「フォックス・キャッチャー」では提示されていると言っても全く過言ではないと思うのだけれど、どうでしょうかね。

フォックスキャッチャー [DVD]

 

 

13位 : ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男

ジェームス・ブラウン

ギターもベースもキーボードも全部打楽器。それがFUNKだ!

ジェームズ・ブラウンがいなければ、大衆音楽は全く違ったあり方をしていただろう。日本のアイドルだって演歌のような歌を歌っているのかもしれずドルオタは踊ること無くはんなりと彼女らを見つめているに留まっていただろうし、エグザイルはダンスボーカルグループでは無くイケてる体育会系ベンチャー企業になっていただろう。だって「ダンスミュージック」の原型そのものを作ったのがJBだったんだから。

この映画はやっぱり、チャドウィック・ボーズマンの怪演によってすべてが成功しているんだと思う。僕はもちろん現役バリバリの頃のJBを知らず、書籍や音源や過去の映像から見ているだけなんだけど、「リズム」に対して確固たる信念を持ち、文字通り全身全霊でそれを表現し続けたJBの姿がスクリーン上に完璧に現れているように感じた。20世紀の音楽を振り返るような映画がここ数年多いけど、自分にとって特別な「ジャージー・ボーイズ」を除けばこれが一番良かった気がする。映画館を観ながら叫びたくなってしまいました。

ジェームス・ブラウン ~最高の魂(ソウル)を持つ男~ (字幕版)

 

 

11位 : リトル・プリンス 星の王子さま

リトル・プリンス 星の王子さま

3Dアニメでしか出来ない、古典の見事な現代的解釈

※ちょっとネタバレします

事前の期待の上回り具合は「アデル ブルーは熱い色」と並んで今年最高だった。「星の王子さま」の現代的・メタフィクション的映像化をしたのは傑作「カンフー・パンダ」監督のマーク・オズボーン。厳格な教育ママから24時間管理された生活を送っている少女が、隣に住むお爺さんから「星の王子」の話を聞いたことによって世界への視野を広げながら、「大人になること」について自分なりの折り合いつけて未来へ歩き出していくという話。

余計な要素を限界までそぎ落とし(例えば主要な登場人物はほぼ上記の3人だけで、彼らには固有名を割り当てられることすらない)、現代を舞台としていながら寓話的な語り口となっている所が見事。そして描き方の抽象性とは対照的に社会性が強い所もあって、例えば蛇に噛まれたその後の星の王子がなんと高学歴ワーキングプアになっていた!という驚愕の展開なんかもすごいと思った。登場人物の誰かに感情移入するという事ではなく、映画全体が観客である僕達自身に語りかけてくるようなタイプの作品で、後半はずっと涙がとまらなかった。今後時間が経てばもっと自分の中で評価が高まっていくような気もしていて、本当に観てよかったと思った。

 

 

10位 : 海街Diary

海街Diary

今が今しかないのは、いつか全てが終わるから。

豪華な出演者で大変話題にもなった本作は、是枝監督がこれまでやって来たことを全て詰め込んだような集大成的作品となった。あらすじがやや複雑なので割愛するけれども、綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すずの4姉妹が鎌倉で生きていく映画、といったら大概の日本人は観たくなってしまうだろう。

批評家・宇野常寛の指摘では、原作漫画の『海街Diary』は作者・吉田秋生の作品の変遷から考えると明確に「老い」と「死」をテーマとしている。(参考:「楽器と武器だけが人を殺すことができる 」)映画でも、やがて全てが還る場所としての海と、いずれ誰もが迎える迎える「終わり」としての死がゆるやかに結び付けれれながら表現されていく。いずれ終わってしまうからこそ、今この瞬間がいとおしい。

しかしこの「いずれ終わる」ということを僕たちはなかなか直視したくないとも考えている。本作はお葬式のシーンで始まって終わることにも象徴されているように、全体を死や終わりのオーラが覆っている。ただ、死をことさらネガティブに描くこともなく、今の楽しさを変にポジティブに描くこともなく、映画の興味を持続するために観客の感情を利用しようとしていないという点がこの作品の本当に見事な点で、それでいて全く退屈することもないというのだから傑作としか良いようが無い。一枚皮をめくれば空虚な世界を、映画としての快楽で満たしてくれるのが4姉妹の美貌と和気藹々、といった構造を考えながら観ると良いのかとおもう。

海街diary スペシャル・エディション

 

 

9位 : ヴィジット

ヴィジット

恐ろしい現実の中で彼らが見つけた「言葉の力」とは

ホラーとしてむちゃくちゃ怖く、しかもその中に明確な作家性を持たせているという、なかなか見られない作品だった。主人公は姉と弟のきょうだいで、父親は以前に離婚している。母親と三人で暮らしていたが、彼女が恋人と旅行に行くことになったため、きょうだいは諸事情によりこれまで会ったことの無い母親の両親 = 祖父母の家で過ごすことになる。気さくで優しい祖父母だったが、だんだんと様子がおかしいことに気がつき、事態は思わぬ方向へ・・

監督は「シックス・センス」があまりにも有名なM・ナイト・シャマラン。誰もが目をそむけている"世界の真の姿"を一貫したテーマとして扱ってきたが、本作でもその意思は1ミリたりともぶれることは無く、作家としての圧倒的な強度を感じさせてくれた。めっちゃ怖いのに、登場人物の成長や誤配を伴った癒し、言葉の力というものが示されていて、僕個人の好みともマッチしていて深く感動してしまった。

 

 

6位 : 6歳のボクが大人になるまで

6歳のボクが大人になるまで

僕は別の僕だったかもしれない。故に僕は僕でしか無く、僕は一度しか生きられない。

あらすじはタイトルの通りで、6歳の男の子・メイソンが18歳になり大学に入学するまでの話。すごいのは、実際に12年間の撮影期間をかけているというところ。主人公のメイソンとその家族の一人ひとりが時間の経過と共にゆっくりと確実に変化していく様子を観ることが出来る。それだけで映画史に残るような試みを最後までやり遂げた事自体にまず拍手だが、そういったパフォーマティブな部分を差し引いたとしても本当に素晴らしい出来の映画だった。

監督は「ビフォア」シリーズでお馴染みのリチャード・リンクレイター。最初に12年間分のシナリオがあったわけでは無く、俳優自身の変化に合わせてその都度その都度で脚本を書いていき、結果的にこのような話になったそうだ。かといって行き当たりばったり感など全く無く、初めから全ての道筋が決まっていたかのように話が進んでいく。子どもが大人になっていくということ、出会いや別れ、家族との関係といったものが、12年間に渡る撮影期間でなければ成し得なかったレベルで表現されているように思った。

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3位 : インサイド・ヘッド

インサイド・ヘッド

世界最高のクリエイターチームが作った、完璧なエンタテインメント。2015最新版

※微妙にネタバレあり

主人公の女の子・ライリーは転校初日のあいさつ中に突然情緒不安定になり号泣。クラスに溶け込むのに失敗し、ふさぎ込んでしまうライリーを両親は心配する。そして本作ではその時ライリーの頭のなかで何が起こっていたかということを、「感情を擬人化」というすごいアイディアでストーリー化していく。映画ど頭5秒のくらい、「ヨロコビ」というキャラクターが登場した時点で素晴らしい映画であることを確信した僕は、それ以降の2時間ずっと泣きっぱなしとなってしまった。

人間の脳や記憶の構造を踏まえてそれをアドベンチャーの舞台にしているこの「インサイド・ヘッド」。言及したいところは沢山有るけど、やっぱり「ビンボン」という、かつてのライリーの(想像上の)友達のくだりがとても良かった。小さなころに好きだったものや、思い描いていた想像は、大人になった現在の自分に直接は関係していないように見え、思い出すことすら無かったとしても、どこかで必ず支えてくれているものなのだ。成長して社会の中で生きていくためには、脳の中で子どもの頃の想像が占めていたスペースを、少しずつ現実的な要素に譲り渡して行かなければならない。それはもちろん苦さを伴うが、過ぎ去った思い出は確実に自分自身の一部となっている。こうした部分は「リトル・プリンス 星の王子さま」にも通じていて、両者を比較しながら観てみるのも面白いと思う。

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2.5位 : EDEN / エデン

EDEN / エデン

一級品のクラブ映画にして芸術映画! 〜〜〜 明け方の森に二人の男。一人は鳥の歌を聞き、一人は静寂に耳をすませた。〜〜〜

ついさっき観てきたら予想を遥かに上回る、どころでは無くて確実に自分の人生にとって最重要の一つとなる映画だった。2.5位という訳分からない順位なんですがお許しを。

舞台はパリ。「フレンチエレクトロ」がダンスミュージックの主役になっていった90年代〜2000年代、主人公のDJ・ポールはアメリカのガラージハウスにかぶれて時流に乗れず、クラブ音楽やパーティ文化への愛とは裏腹に人生に破綻を来していく。年代によって人々のファッションや音楽などが細かく考えられていて、時代考証・クラブ音楽考証としても(おそらく)完璧なのでは無いかと思う。日本では分かりにくいフランス語圏の近年の文化状況を知る上でも、一級品の資料として今後言及されていくことと思う。

佐々木敦著『ニッポンの音楽 』では戦後日本の音楽がアメリカとの距離感を絶えず意識しながら発展してきたことが論じられていたが、本作「エデン」を観るとそのようなシーンのあり方はフランスですら大きな違いが無いと考えて良いようだ。ポールはとにかくガラージハウス(シカゴ・ニューヨーク)が大好きで、自分の生活(パリ)とのバランスが全く取れずに苦しむことになる。ジャスティスのアメリカツアーをモキュメンタリータッチで記録した『A Cross the Universe』でもフランスから観たアメリカというものが表現されていたけど、そちらがややアメリカ蔑視気味だったという点で比較の対象となり得る。

クラブやパーティの撮り方も文句なく格好いい。クラブ文化に対する敬意が感じられるような緻密な演出やこだわったカメラワークなど、本当に観ていて嬉しくなるようなシーンばかりだった。絵面が派手なだけの映画では全くなく、主人公の恋人の変遷に話の流れそのものを仮託するような非常に上手い脚本など、文芸映画として一級品だと言って差し支えないのでは。まさかこんなものが観られるとは思わなかった。パリのクラブやDJ、レーベルなどの固有名詞もじゃんじゃん出て来る。少しでもクラブやダンスミュージックに関心がある人なら、絶対絶対必見です!

 

 

2位 : マッドマックス 怒りのデスロード

マッドマックス 怒りのデスロード

観てない奴とは縁を切れ!

5回しか観に行っていないのにこんな事を言って良いのかわからないが、こんな凄い映画をリアルタイムで観られて、そして映画がどんどんカルト化していく場面に立ち会えて本当に良かった。自分たちの世代ではもうそんな事は起きないんじゃないかと思っていたからね。

もはや何も語る事はない。これだけ盛り上がっているにも関わらず怒りのデスロードを観ないという奴はもういい。勝手にしてろ!

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1位 : はじまりのうた

はじまりのうた

つながるということは、音楽を奏で合うということ

レコード会社から追い出された落ち目の音楽プロデューサー、ダン。全てを失い生きる気力を失った彼は、偶然入ったライブハウスでグレタというシンガーソングライターの歌を耳にする。グレタの歌に感動し文字通り命を救われたダンは、彼女とともにアルバム制作を始め、多くの人を巻き込んで自らの人生を変えていくー。監督は「ONCE ダブリンの街角で」で評価を高めたジョン・カーニー。ダンをマーク・ラファロ、グレタをキーラ・ナイトレイが演じている(キーラの歌のうまさには驚愕)。マルーン5のアダム・レヴィーンが映画初出演している事でも話題となった。

映画が始まって20分ごろで神シーンが訪れ、そこから先はすべてが最高だった。この映画では、本当に通い合ったコミュニケーションはすべて音楽を介して行われる。歌で、楽器で、ラップで、iPodの中の好きな曲で・・。政治哲学者のルソーは言語の起源は歌であると考え、言葉はその堕落形態なのだと論じたが、「はじまりのうた」はまさにそんな事もひとつのテーマとしている。舞台がニューヨークというのも重要。あらゆる人種や文化が入り混じった特殊な街で、屋外でレコーディングを行うという彼らの選択は、世界の葛藤 = 人生の葛藤といったものを街のノイズに託して音楽にこめた結果だろう。

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単純なことではあるけど、作り手の皆が音楽の力というものを心から信じているという事が手に取るように伝わってくる。「音楽が好きで、音楽は凄いと思っているから、それを映画でストレートに表現しました」みたいなもので、難しいところは一つも無い。楽曲の良さが映画自体の印象をかなり高めていることは間違いないけど、音楽が好きな監督だからこそアダム・レヴィーンも本気で曲を作ったのだろう。

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ダンの家族の問題や、イギリスからやってきたグレタとその彼氏の問題など、実際には話はとても多層的。出番の少ない登場人物の一人ひとりに独立した物語が立ち上がっていて(グレタの友人の男・スティーブはグレタのこと好きなんじゃないか?などと類推したりしてしまう)、なんとも愛のこもった映画だと感じた。「音楽に救われる」なんてこんなところで言うと全く安っぽいのだけど、「はじまりのうた」の中では本当にそれが起こっていて、観ている僕たちもどこか確実に救われる。心からおすすめします! 

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※サントラも超おすすめ : はじまりのうた-オリジナル・サウンドトラック

 

 

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